7/19/2017

ビスケ、治療は依然として捗々しくない。7月19日。

4日前に比して今日のビスケは元気が無かった。

前肢を使っての立ち上がり方が弱々しい。一度では立ち上がれない。毛艶がどんどん悪くなっている。左目が真っ赤に充血している。看護師の話では大便がさらに柔らかくなったと云う。表情が良くない。明らかに体調が悪いのだ。そりゃそうだろう。明けても暮れてもアレヤコレヤと薬を飲み続けさせられて、入院と言えば聞こえがいいが、実態は窮屈なステンレスの箱の中に閉じ込められているのだから、気丈夫に見えてもビスケのストレスは溜まる。

おまけに下半身は自分の思い通りに動かないのだからストレスは倍加する。体調を維持するのは難しい。腸内環境の悪化、つまり悪玉菌の増加で免疫力低下からくる各種症状が出ていると容易に推測できる。もうガマンの限界かもしれない。今日もステンレスボックスの格子戸を開けてやるとビスケは前肢と上半身だけを使ってこちらへいざり寄り、激しくボディーコンタクトをしてくる。自分の家へ帰りたい気持ちを思いっきり伝えようとする。

15日に比して明らかにビスケの体調は良くないし、苦労して立ち上がっても大腿部を自分の意思で自由に前後に動かすことは依然としてできていないのだ。特に右足は腰からぶら下がったまま引き摺っている。4日前はぬか喜び、やはり歩様と言うには程遠い。にもかかわらず院長は「7月末をめどに考えてます」と云う意味不明な、あるいは伏線を張るようなセリフをさりげなく発した。今日のところは思うところがあってあえてその真意を正すことはしなかった。

これまでは「1ヶ月、あるいは2ヶ月、もう少し希望を持って、もう少し預からせて・・・」と言い続けてきた院長だ。医療過誤直後に「5月19日の朝の、事故以前の状態に戻すべく、自分の知識と技術を駆使して努力します」と言ったことを彼はまだ覚えているのだろうか。手術後のビスケの脊椎がどのような状態であるのかということを考えた上でレントゲン台の上にビスケを横たわらせることをしていれば防げたはずの、実に許し難いミスでビスケの一生を台無しにしてしまったことに対する罪の意識と反省があるのかどうか甚だ疑問だ。喉元は熱さをすぐに忘れてしまう・・・。

ステンレスボックスの中で「今日もまた置いていかれる・・・・」と悲しい眼差しを見せるビスケに背を向け、診療室を出て、「そろそろキメねば・・・」と考えながら暑い中を帰途についた。


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