シシ狩猟グループの主要メンバーが発起人となってシシ肉利用の事業を正式に立ち上げることになった。
「ジジイの年齢に限りなく近いおっさんたちが鉄砲を担ぎ、軽トラ飛ばしてシシを狩る」のは有害獣駆除の観点からおおいに地元貢献しているのだが、狩ったあとのシシ肉を「ロースとモモだけ仲間内で分けたり近所へ配ったりしているだけ」では撃たれたイノシシも浮かばれない。捨てているその他の肉も牙も皮もったいない。わがシシグループは猟期中(ほぼ100日)だけでも80頭以上も獲るのでいくら美味しくても喰いきれないし。
ワナ猟をやってるヒトが獲ったシシも質のいいやつを集荷してジビエに興味がある料理人に売ろう。牙はアクセサリーで売れる。ついでに天然のスッポンや鮎もたくさんいるから売っちゃえ。町内には日本一の白桃農家やピオーネ農家も多いし入手困難なチーズで有名な「吉田牧場」、同じくこだわりのベーカリー「焼きや」など、実力系特産品が多い。吉備高原の天然タンパク源も有名にしようと・・・。
イノシシは牧場に飼っているわけじゃないから安定供給ができないと言う難点はあるが、生息条件に恵まれた吉備高原の天然イノシシの肉はヘルシーで美味しい。巷間よく言われる『臭い』という話は『食べるべきではない個体』を食べさせられているヒトの『シシ肉体験談』だ。また相手が天然野生のものだから肉質は個体差が大きい。天然物しかない松茸と同じだ。美味しいものと美味しくないものの差が非常に大きいのだ。本当に美味しいシシ肉は狩った猟師と猟師に近いヒト、高級料亭でボタン鍋を食べられる人たちぐらいのもの、と言っても言い過ぎではない。
・・・ってな話が肉を売ろうと考えたきっかけだ。実際のところ標高300〜400mで尾根と沢が幾重にも重なる吉備高原はシシ肉にとって理想的なエサがふんだんにある。夏の田んぼのコシヒカリと秋の山の栗、ドングリ(イベリコ豚の脂身がどんなにうまいか知ってるヒトにはその味がわかる)はその代表だ。(この20〜30年で生息数が異常に増加しており、餌にあぶれたイノシシが里を荒らすから人間にとって有害獣なんだと云うことだが)真っ白な脂身にはコラーゲンがたっぷり含まれているのだ。サカリのついていない秋の雄。妊娠直後の冬の雌。年齢は3歳前後が美味い。目先の需要に振り回されないでじっくりと美味しいシシ肉だけを出荷しよう。
わがシシ倶楽部の長老曰く「県北部は山に餌が少ないからシシ肉は獣臭い。県南部ヘ行くと寒くないから脂が乗らない。ちょうどいいのがワシらの山のシシじゃ。」
で、地域活性化のための(わずかな)補助金を県と、町から受け、専用の皮むき機も買って保健所の許可も受け、現シシ小屋の建っている土地の持ち主であるシシグループメンバーがさらに山を整地して新しい解体工場を建てることになったのだ。本日は新たに発足した「有害獣利用促進協議会」の出資者会議が開催され、出資金を納めて証券を受け取ってきた。利益が出れば配当もある。国から受け取る年金も(永年納めた莫大な掛け金を考えると腹が立つほど)少ないし、がんばってシシを狩り、売らなくちゃ。
こうして高原ジジイたちの挑戦は始まったのだ。無謀だけど夢はある・・・・・・・。
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