1/25/2016

イノシシ猟:年が明けてからのオスは美味くない。

サカリがついて雌を追いかけている時期の牡イノシシに襲われたらタダじゃすまない。

彼は全身の毛を逆立て、凄い形相でこちらへ突進してきた。
背後に迫る猟犬との距離が短いとイノシシは早く走り、正面に猟師がいてもそこが彼の「よく使っている走り(獣道)」であれば進路を変えない。
約20メートルの距離まで来た時、正面やや上方から一発。
ブリネッキ12GA弾頭が左目と額の間の辺りへ入った。
その瞬間、彼は動きを止めて仁王立ちになり、倒れずにこちらを睨み続けていた。
右下顎あたりから地面へ向けて水道の蛇口を開けたかのような勢いで血が流れ出ていた。
正面から入った弾の角度は心臓方向だが、心臓を射抜いていればこれほど出血はしないし、射抜いた瞬間に4つの膝を折って倒れるはずだ。
フーッ、フーッと荒い息をしながら彼は10秒間ほどは立っていた。
おそらく頸動脈を破いたのだろう。そうでなけりゃこれぐらいのやつは顔面に一発食らったぐらいで動きを止めない。
朦朧と意識が薄れていくかのように体が揺らいだ後に、巨体はゆっくりと崩れ落ちた。
(写真は渓流でワタヌキ後に躰を流水で洗った後のもの)
かなりの大物、なのだが体格が貧相だ。
年が明け、すでに交尾期に入ってから数週間経っているこの時期のオスは食事もそこそこにメスを追い求めて動き回るのでげっそり痩せている。背骨の両側部分を毛皮の上から押さえてみると肋骨の位置と形がわかるほどに肉も脂も落ちている。
おまけにオスの交尾期特有の獣臭さが鼻をつく。
牙の大きさから推定するに年齢5〜7歳。交尾期に入る前の体重はおそらく70Kg超。
前脚の大きさがこいつの大物ぶりを物語っている。
馬力ならぬ猪力の大きさと足腰の強さ、俊足であったことも窺い知ることができる足。
この時期に他のオスと闘った傷跡が身体に無い、ということは かなり強い奴だったのだ。
イノシシ猟犬が最も恐れるタイプだ。一瞬にしてやられる。もちろんヒトもやられる。
心臓も大きい。強者にふさわしいサイズだ。
心筋も分厚い。
千切りにして塩炒りでいただきましょう。コリコリと美味しい。
年明けのオスのシシ肉は固くて臭いが、これも天の恵みであることに変わりない。
ありがたくいただきます。

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