12/04/2010

イノシシ猟:ジジイとおっさんたちの執念で大モノ


冬の低気圧が発達しながら列島を駆け抜けた今日、朝からヘンな空模様だった。
日の出からしばらくは穏やかな快晴だったのだ。朝の散歩でビスケが村の真ん中の道路の法面にあるブッシュに異常に反応し、イノシシを『起こし』た。ブッシュの中からイノシシが出てこないのでウチへ帰り、鉄砲を持って引き返したがすでに何処かへ逃げた後だった。こんな場所にイノシシが『寝る』のか・・・・? 異常だ。

そのまま青空が安定していたのでシシ猟はやれると判断して出陣。ところが、コアメンバーが『切り』をやっている無線を聞きながら猟場へ軽トラを走らせる頃には朝の快晴がウソのような荒れ模様。風は強くなる一方だ。西高東低の気圧配置が強まっているのだろう。シシがいるとおぼしき山裾へ集まったのはコアメンバー5人と僕の計6人しかいない。一人は勢子だから撃ち手は5人だ。

荒れ模様の天候のもとでいくつもの山を走ることになった。『囲み』をたった5人でやるのだから何度も何度も抜けられてしまうのだ。しかしそこはコアメンバーたちだ。イノシシの逃げているルートの把握と先読み、先回りが早くて的確だ。僕一人が遅れ気味なのはしょうがない。イノシシは逃げても逃げても確実に追い上げられていく。疲れてくるとともにイノシシと犬との距離が縮まる。そうすると逃走ルートの先読みがますます正確になる。数時間追われたイノシシは身体を冷やすために『ヌタ場』を選んで逃げ、犬が入れない笹薮を使って休む。その回りを犬がラウンドして『止める』。

ベテランが『ジャングル』へ踏み込み近づいて行く。ついに日没寸前、O猟師がブッシュから『走り』へ飛び出してきた獲物を捉えた。山一つ東の窪にいた僕にも銃声が2発聞こえた。同時にO猟師の声が無線から聞こえる。「おっきいぞ!!100Kgじゃあキカン!当たったかどうかわからん!逃げた!!」

僕を含めて3人がO猟師が撃った場所からさらに西へ回り込むために走る。陽が暮れたらオシマイだ。走っている最中に無線機からO猟師の声が聞こえた。『転んどる!50mぐれぇ血を引いて行って倒れとるぞ!弾が当たっとった!こりゃあおおけえぞ!二人や3人じゃあ出せん!』・・・・・・・・・。やった!

残る4人の撃ち手が『転んだ』現場へ登って行く頃にはもう真っ暗だ。懐中電灯で足下を照らしても役に立たないほどの山の中を獣道をたどって進んだ。クルマで行ける限界の場所から15分ほど入った斜面にその大モノは転んでいた。こりゃあ大きい!

この牙・・・・・・・。推定年齢5〜6歳。120〜140Kgだ。

イノシシの牙にロープを縛って、50代一名、60代3名、70代1名の計5名で道路まで引っ張りだした。全員汗びっしょりだ。ふらふらしながら、シシ小屋へ帰るためにクルマを回す。

大きいわりには肉質が良かった。大モノ特有の肩口の『鎧』が無い。牡同士の争いによる傷跡も無い。アブラはまだ少ないが赤身の色がどす黒くなっていない。豚肉のように明るい色をしている。鼻の大きさ等から察するにかなり『ブタのDNA』が強く出たイノシシだろう。こういうのが美味いんだ。

とことん追いつめる、あきらめないジジイとおっさんたちの執念で仕留めた大モノだった。たった5人で、しかもそのうちの一人、つまり僕は緊急事態になると大幅に戦力低下する初心者なのに。囲みを切られても切られてもあきらめず、先へ先へと迅速かつ適切な読みでシシを追いつめた結果だ。恐るべき60〜70代パワー。

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