2/17/2011

イノシシ猟:スラグ弾の威力VSイノシシの背骨


写真は右の2個が未使用のロットウェル・ブリネッキ・スラグ弾。左が昨日の獲物の体内から取り出した弾頭である。爆発緩衝材がくっついたまま弾頭は半分潰れている。

12番のスラグ銃身で撃った弾は高い位置から20m飛んで行ってイノシシの背骨で止まっていた。弾は躯を貫通するどころか内蔵にさえも達していなかった。(食用に撃っている獲物だからそれでいいのだけどネ)ただ、脊髄を破壊したので一発で「転んで」くれて肉を壊さずに済んだわけだ。

ロットウェル・ブリネッキの12番スラグ弾は比較的破壊力が大きいとされている弾なのだが、それでもショットガンの射出速度ではこんなもんだ。弾は背骨をへし折ったところで止まっていたのだ。(背骨でこれだから頭骸骨の硬い部分に当たった弾などはもっと拉げる)

先日の2頭連続撃ち30mショットは、1頭めは腹だったので貫通した。しかし100mほど走って逃げられた。2頭めは前頭部の頭蓋骨を砕いて脳しんとうを起こして倒れてくれた。だから正気に戻る前に血抜きをしようとしたときに大暴れしたのだ。いずれもライフル弾のように体内に衝撃波空洞ができるほどの破壊力はない。20mで撃った昨日のイノシシも弾が入った周辺に破壊エネルギーによる空洞などはなかった。

ショットガンでスラグ弾を撃っても最大到達距離(あくまでも「到達」する距離であって有効射程距離ではない)がせいぜい500mほどなのだから、少し標的から離れれば破壊力は極端に低下する。弾速がきわめて遅いのでたいていの(走るイノシシを待ちで撃つ)場合に獲物の体内で衝撃波空洞はできない。

たまにライフル持っている人が仕留めるとかなり距離があってもぐちゃぐちゃだ、骨も肉も・・・。安全角度で獲物を見通せる距離が遠くてもせいぜい50mぐらいしかない我々の猟場では、弾頭の体積がスラグ弾の1/4ほどでもライフル弾を撃ち込むとその射出速度に比例した衝撃波破壊力で弾が通過した体内はバラバラ、ドロドロになるのだ。「肉がメゲル」のであまり歓迎されない。だからイノシシ撃ちの基本はギリギリまで獲物を引きつけてスラグ弾で一発で仕留める、だ。(ちなみに薬莢内に一発しか弾頭が入っていないスラグ弾も分類的には「散弾」と言うんだそうな)


ぼくも常に一発で倒したいとギリギリまで獲物を引きつけて撃つようにしているのだけど、焦りぎみの性格の猟師が遠くから撃ち急いでイノシシが手負いとなり、ヒトが入って行けないような笹薮とかブッシュまで逃げてしまうと、犬は獲物が死ぬまで離れず、死んだら死んだで満足するまで肉を齧ってなかなか帰ってこない。つまりその猟は「骨折り損のくたびれ儲け」になってしまうので、ショットガンを使う猟ではやはりギリギリまで獲物を引きつけて(危険と言えば危険だけどねぇ・・・。ハズセばイノシシの牙の餌食になってしまう)効果のある距離から撃ち、かつ「人力で運び出し」可能な場所で「転ばせる」ことが重要なのだ。

獲物の至近距離に近づき、突進する標的を的確に捉えて倒す行為は、手ぶらで歩くのも難しい山中の息吹とか、野生と対峙する時の緊張感とか、銃の扱いの危険性とかがよくわかる。●国とか●シアとかに占領されてもレジスタンスになって戦っていけそう・・・・。

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