昼夜の温度差は摂氏で10度から15度もあるこの季節。朝の畑ではすべてのものが凍っているかのように見える。露地栽培のほうれん草は毎夜、こんなところで凍え死んでなるものかと頑張って氷点下の夜をしのぐ。
朝日が昇ればまた太陽のエネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素から葉緑体の中で糖類をたくさん合成し、次の凍える夜に備える。
このほうれん草たちが育つために人間がしたことは、まだ暖かさが残る時期の畑に畝を切り、種を蒔いたことだけだ。その他には何の手助けもしていない。甘やかしていない。ほったらかしだ。彼らが自分で勝手に育っているのだ。厳寒の中でひたすら耐えて「濃厚」に生きている、そんなほうれん草たち。こいつらを食べると感動する。
易きに走るな。
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