1/17/2017

イノシシ被害はイヤだけど、仔イノシシを獲るのはやめようよ。



農作物を根こそぎやられたり、庭先などを掘り起こされると、猿だろうが鹿だろうがイノシシだろうが憎っくき敵なんだけど、彼らにもこの自然で生きて行く権利はあるわけで、ある程度人間が被る被害は諦めざるを得ない。

人間が都市集中奴隷化の歴史を歩み、日本の広大な(日本列島の南北全長はコペンハーゲンからマドリード辺りまである)恵まれた自然(変化に富んだ標高差と豊かな植生の森林、豊かな水)を放棄してしまって里山が無人化したことは野生動物の異常繁殖につながっていると思われる。生息数が増える→山中は強い個体が縄張りとしている→あぶれた個体がその周辺にあふれている、のだ。

ワケ知り顔の学者や知識人が言うような「人が開発で自然を破壊したから野生動物が住む場所を追われ、餌を求めて人の生活の場へ下りてくる」わけでは決してないと思う。

まあこの事態は人間の自業自得。都市部の「欧米の世界戦略に組み込まれた貨幣経済的繁栄幻想」のために農業を捨て去り、人間が生きるために必要な食の供給源が悲惨なことになっているのだ。

野生動物による「被害」に日々直面して生きていくことは自然のバランスでしかないのだが、無知、無能な行政と欲に駆られた政治家どもがばら撒く「有害鳥獣駆除補助金」を目当てに本末転倒の「狩り」をする「今だけ、カネだけ、自分だけ」の民が群がっている。

その象徴的な例がイノシシの檻罠だ。
野生動物は警戒心が強いからそうやすやすと餌につられて人間の仕掛けた罠にはかからない。しかし経験の浅い、生後一年未満の仔イノシシは、親がそばについていても餌を見ると、この、あからさまな檻罠に入ってしまう。檻罠より巧妙な(土に埋め、枯葉に隠して仕掛ける)くくり罠でさえ用心深く避けて通る大人のイノシシは、まず檻罠には入らない。たまに3〜4歳の成獣なのにかかってしまう間抜けなイノシシもいるにはいるが、それは珍しい。

仔イノシシに限って言えば、檻罠は捕獲機として有効だ。しかし経験則から言えることは、いくら檻罠で子イノシシを数多く捕獲してみても、近隣町村のイノシシ被害が減ったという話は聞かず、そう言った統計も見ない。檻罠にかかっている頭数は、せいぜい自然淘汰されている個体数と同程度のものだろう。ここ吉備高原は野生動物が暮らしやすい地域だから一度に多頭出産する(4〜5頭平均。7頭の胎児を見たこともある)個体が多いから、オリ罠ごときではでは農業被害は激減しない。

町から一頭あたり5千円、県から一頭あたり4千円、農繁期には国からも一頭あたり4千円支給されるので一頭あたり合計1万3千円、もっぱらカネ目当てで檻罠(コスト数万円)をたくさん設置して、あどけない子イノシシにオトナの世界を見させることなく「殺生している」輩が多いのだ。せめて子孫を残せる年齢までは生かしてやろうよ。

イノシシだって悪魔なわけじゃないんだ。庭や田畑が被害を被り、人間側の損失が限度を超えたら、我々も生存権を守るべく、ただし正々堂々と生き物同士の勝負をつければいいのだ。


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